松本 宮城県の「森の犬猫病院」の西原克明院長にお答えいただきます。まず、7ヶ月のマルチーズの飼い主の方から「避妊手術に関して、腹腔鏡手術はお勧めできますか?」とのことですが。
西原 まず、腹腔鏡手術というのが動物病院ではマイナーな分野ですので、その機材を入れて他にはない選択肢を提示していらっしゃる部分ではしっかりしてるかなと思います。ただ、腹腔鏡手術自体がどうなのかということになりまと、僕自身が手がけていないのでコメントしづらいんですが、一般的に開腹手術よりも体の負担は少ないと言われてます。開腹手術であれば、術後3時間は痛み止めを使って安静にして、それから徐々に動き出してっていうパターンが多いと思いますが、腹腔鏡手術であれば、1時間しないうちに立ち上がって動くケースもあるそうです。
松本 続いてこちらは、7歳のみつりちゃんについての質問です。「前足を噛むか舐めるかしているんですが、これは何か意味があるんでしょうか?。また、以前ご相談した耳のアレルギーはまだおさまっていません。チューシャトーアポギルを14日分処方されています。」とのことです。
西原 爪に関しては、耳のアレルギー症状の一環として足先にかゆみが出る子も多いので、その可能性があります。
松本 犬も猫も足先にかゆみって出やすいものなんですか?
西原 アレルギーの症状のよく出る場所としては、足先だったり脇とか肘とか内股だったりと、動きの中で擦れる場所に痒みが出やすいと言われています。その痒い時に出てくる物質でヒスタミンって聞いたことあります?
松本 あります
西原 ヒスタミンはいっぱい出ちゃうとかゆみが強くなるんです。けど、普通の体質なら掻いておしまいなんですが、アレルギー体質の子って掻くことによってヒスタミンがより多く出ちゃうんですね。なので掻けば掻くほどヒスタミンが出て痒くなってまた掻いての悪循環になっちゃうんです。擦れる場所は刺激によってヒスタミンが出ちゃうので、かゆみが強くなるって言われてるんです。
松本 どうやって治すかは、薬との付き合い方と食生活ですよね。
西原 なんとかそれを止めたいっていう場合は、やっぱり薬に頼らざるを得ないと思います。今回はアポギルっていうお薬を処方されているということなんですけれども、アレルギーの時に一番使うお薬でステロイドというの聞いたことあります?
松本 なんかあまり使いたくないなっていう私の意識はあるんですけど・・・
西原 ステロイドは痒みをよくとってくれるので、夜も眠れないくらい掻いて掻いて寝不足でフラフラしているなんて時には、使って痒みを抑えてあげたほうがワンちゃんの生活の質はよくなります。ただ、ステロイドもアポキルもあくまで症状を取ってるだけで治してるわけじゃないんです。かゆみがおさまると治ったんじゃないかって思うんですけど、単純に薬でも押さえつけてるだけ。薬をやめるとまた痒くなってでまたお薬飲んでって言うことになります。
松本 じゃぁどうしたらいいんですか?
西原 先にアポギルの話をさせていただきますと、これはステロイドほど副作用はあまり出ないと言われています。正しい飲み方をすれば1年間お薬を飲んでも副作用はほとんど出ないで過ごせると言われています。ただ、かゆみを抑える効果がステロイドよりはちょっと弱いんですね。みつりちゃんの場合、しっかり効いてるんであれば、うまく使いながら過ごしていただいてもいいのかなと思います。
松本 薬代のことを考えたら早くなおしたくなっちゃうんですけど、それはアレルギーの出ないものを選んで食べるとか、何にアレルギーが出てるか探りながら一緒に生活するしかないですよね。
西原 そうですね、ワンちゃんの場合は血液でアレルギーがあるのかを調べることはできますので、検査をしっかりしてアレルギーが出づらいような食事だったり生活環境を整えることでお薬を減らしていくことはできると思います。
松本 わかりました。先生今日はありがとうございました。