New York - リンコとチョビのNY

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Thanksgivingが終わり、日増しにクリスマスムードが高まるNY
心地よい寒さと、この上ない快晴で思わずスキップしたくなる気持ちの良い朝
電車に乗って初めてのブルックリンへと出かけた。

マンハッタンとは打って変わって、のどかなムード漂う日曜のブルックリン。
駅を上がった所で待っていると
通りの向こうから華奢なアジア人の女性とふわふわしたハスキーがニコニコしながら歩いて来た。
「笑うニューヨーク」シリーズでお馴染みの、リンコこと竹内玲子さんと、愛犬チョビだ。
前日に、リンコさんが書いてくれた地図を見ながら
私たちは怪しさ満載の”へんなデリ”(リンコさんの地図より)の前で待ち合わせた。

今回の主役は14歳の女の子のチョビ(リンコさん曰く、我慢強いのが魅力)
シベリアンハスキーの14歳というと、一般的にはもうかなりのベテランに入るのだが
毛並みも足取りもあまりに若くて元気で驚いた。
真っ白くキレイな毛がふわふわで、とっても良い匂い。

前日に「スパで洗濯した」そうで、大好きなお散歩かと思ったら恐怖のスパに連れて行かれ
お兄さんに洗われながら必死で横目で訴えるも、残念ながら叶わず
その後は、ママの顔もお兄さんの顔も一切見ず、とても嫌だが我慢強い為ひたすら耐え
終わってから今朝まで、ずっといじけていたそう。
「あまりにガタガタ震えてるから、心臓麻痺にでもなるんじゃないかとすっごい心配で、すっごい可哀相でずっと見てて、
でも、心配しながらもしっかりパシャパシャ撮ってたから恨まれてて(笑)」
犬もキレイになるには忍耐と努力が必用なのだろう。

しかしながらすっかり良い相棒っぷりのリンコさんとチョビ
14年前に、ニュージャージーにあるモールのペットショップで出会ってしまったのだそうだ。
子供の頃からほとんどいたずらをした事がなく
しつけもしっかり入った為、あまり手がかからなかったそう。
この日も、最初に入ったカフェで、ガラス越しに切なくなるほど大人しくじーっと座って待ってくれていたのだが
気温は低くても、寒さに強いハスキーには、日差しが強いだけで暑い事があるそうで
リンコさんは「14歳だからね、気をつけないと」と、心配そうに何度も外に様子を見に行っていた。
rinko11.jpg店員さんにも道行く人にも大人気なチョビのお陰か
見る見る内にいっぱいになってしまったこのカフェ
食いしん坊のリンコさんお勧めのバターミルクパンケーキを迷わずオーダーした。
ふんわり、ボリューム満点のパンケーキと、濃厚なチャイを頂きながら外を見ると
ぽかぽかした光が差し込むガラス越しに見える
道行くお洒落な人たちと、何でもないのにお洒落な町並み
大変な思いをしてキレイになったふわふわのチョビは
そんな町にとっても馴染んでいた。

大人しく控えめでとっても良い子のチョビだが、とはいえイタズラ好きのシベリアンハスキーだ。
何か破壊した事は?と訪ねると
友達の携帯と眼鏡は何個も破壊して来たのに、何故か家具は壊さないし、
リンコさんのものは何も壊さないのだそう。
「なのに、なのに、ひとつだけやられたものがあるの....」
「それが、何とプラダの靴で.....」
おおお......チョビ.....

ファッショニスタにとっては神戸牛級のプラダ。
「悲しくて悲しくて、泣きながらチョビを座らせて、自分も正座して、
どうしてよりによってプラダにこんな事したのよ!って、懇々と(笑)」
やはり良い革は分かるのだろう。さぞや楽しかった事だろう、でもプラダは食べ物じゃないよ....

「結局修理に出して、やっと戻って来て、机の上に置いておいたら
お、よいニオイですね〜、とばかりにまた取り出そうとしてて」
でも、そこでリンコさんと目があったチョビは一瞬固まって
「あっ!!そうだった(汗).....」
と、そろ〜りそろ〜り後ずさりしていたそう
最後がやっぱりチョビらしくて微笑ましい。
rinko12.jpgお腹もいっぱいになった所で、お散歩が何よりも好きだというチョビが、
近所を案内してくれた。
色々な場所のニオイを嗅ぎながら、とっても楽しそうに歩くチョビ
昔はウォーキングも完璧で、上手に左側を歩き、信号の度にお座りをしてい待っていたそうなのだが
ある日お願いしていたドッグウォーカーさんに
「この子は信号の度に座るから困る!」と言われ
せっかく苦労して躾けたのに、解くのは一瞬で
「好きに歩かせるのも良いかも」と、以後は自由に歩くようになったそう。
チョビのようにきちんと躾をされた良い子には、殆どがウェルカムなNYのお店。
この日も洋服屋さんや靴屋さん、市場や雑貨屋さんなどに
一緒に入って、自由にショッピングができた。

一通り町を案内してくれた後、家に帰る事になったのだが
方向が家の方に向いた途端、あからさまにテンションが下がるチョビ。
「歳だから疲れる癖に何時間でも歩きたがって....歩き過ぎてて次の日ビッコとかひいたりしてる事もあるの」
シベリアンハスキーはその昔、人命救助のため、544kmを走り通してジフテリアの血清を運んだ事があったのだそう。
この名誉の銅像がNYのセントラルパークに建てられているのだが
歳をとってもその血は衰えないのだろう。
どこまでもどこまでも楽しそうに歩くチョビの姿を見ると、もっともっと一緒に歩いていたいと思ってしまうが
身体の為にも我慢。
その代わり、後でドッグランに遊びに行く約束をした。
何と、家の目の前にあるというドッグラン、その模様は次回。

1201485171285.jpg竹内玲子
血液型:O型
出没地:いろんなとこ

グラフィックデザイナーぽいライターぽい普通の人。ニューヨーク在住20年位。年齢不詳。パーソンズ美術大学卒業後、グラフィックデザイナーぽい人になり、2000年『御手洗潔攻略本』(島田荘司・著/原書房刊)の中でパロディー小説が採用されたことをきっかけに、ライターぽい人に。講談社文庫から『笑うニューヨーク』シリーズと『踊るニューヨーク』シリーズを、徳間書店から『竹内玲子のこれでもかニューヨーク』を出版しています。シベリアンハスキーのチョビ(女の子)と二人暮らし。愛犬も本人も高齢化がすすみ、できれば一緒に棺桶に入りたいと願う今日このごろ(不吉)。
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