ケンタロウ - Vol.01:ケンタロウとクロタロウの出会いの予感

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ケンタロウ×クロタロウ〜出会いの予感〜

『7年前(2002年)、クロタロウが1才のとき、飼い主さんが引っ越しで飼えなくなったから、
ぼくが引き取ったんだよね。』

憤りとも思える、ちょっと強い口調のケンタロウさん。
でも、そのあとすぐにこう続けました。


『当時、ケンタロウ事務所があったマンションの一階、玄関のポーチにいつもいて、毎朝顔を合わせるんだよね。下の階の人が飼ってたんだけど、
なぜか、こいつはウチに来る、って予感がしてたんだ・・・』

ビックリしながら、詳しく聞いてみると、
飼えなくなったと飼い主さんから聞いたのは、お母様のカツ代さんだったそうで、とくに話し合いもしていなかったのに、『息子が引き取りますよ(笑顔)』と成立。
なんと、クロタロウも、戸惑わず一階上へあがり、ケンタロウの車にもすんなり乗ったそうです!
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『仔犬の時は、見たな・・・くらいの思い出だけど、いつのまにか、
「自分の犬になる」って勝手に思ってたからね(笑顔)
飼えなくなったとたんに、手放すなんてどういう意味かわかんなかっ
た。後になって色んな事情があったことがわかったんだけど。』

と眉間にしわをよせるケンタロウさん。
その足下には、穏やかに座っているクロタロウ、大きいけど仔犬みたいです。
こんな風に、惹かれあう出会いもあるんですね。

そんな彼の、動物への愛情は、子供のころから育っていたようです。

小学校1、2年のころに、猫と犬を飼ってたそうです。
当時、農工大の学園祭で「里親探しのコーナー」があって、もし引き取られなかったらどうなるんだろう〜と子供心に心配になって、一番汚いこの子を連れて帰ろう!とココロに決めたそうです。
こういった、子供のときに体験したキモチは、大人になってからもずっと忘れないものだと思います。
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わたしと同世代のケンタロウさん、
70年代は、ペットショップやブリーダーさんに頼んで動物を飼う、というのは少なくて、もらったり、拾ったりしていたのはわたしも一緒でした。
また、親からも、犬に限らず、動物を安易に飼ってはいけない!と厳しく言われて、自分で面倒を見る覚悟を問われて、やっ〜とペットを迎えられた記憶があります。
いつからか、里親探しが大変な時代になってしまいました。
学園祭に限らず、このような機会がもっと増えていって欲しいです。

『お姉さんとカツ代も「このひゃんひゃんしたこがいいね」
ということで、家族になった犬は、名前は『ミケ』(♀)
白地に茶色とクロのブチが入っていて、でっかい耳が立ってるんだ』
 
と言いながら真っ正面顔のイラストをかいてくれました。
ピンシャー顔にブチ、愛嬌満点です。

『仔犬のときからとにかくひっぱるし、脱走するし、家で飼ってた猫を見て真似したのか、塀の上を歩くし!ある日、妊娠しててびっくり。
小学校の友人にあげたりして、大騒ぎだったよ。』


日本の現状と未来について、どう思うか聞いてみると、

『動物は、嫌いじゃないけれど、殺処分になってる現実を聞いても、どうでもいいと思っている大人たちの考えを、急に変える事はできない。
動物・命にたいして無責任だったりする人に、正面切って話してもわかってもらえない。
親の姿勢だったりが、受け継がれて行くものだと思う。』

動物に対する、責任感も愛情も、カツ代イズムの中に秘密があったようです。
次回は、そんなクロタロウ衝撃のハプニング!

ケンタロウ:料理家/イラストレーター
料理のモットーは、「簡単でおいしくって、洒落っ気があって現実的なもの」。
料理家として引っ張りだこの日々を送るかたわら、イラストレーターとして雑誌や書籍、店舗のロゴマークなども手掛ける。センスあるエッセイにも定評があり、母・小林カツ代さんとの共著ほか著作も多数。


写真:小倉直子
取材:松本ともこ