DOGMAN

カンヌ映画祭で2度のグランプリを受賞したマッテオ・ガローネ監督最新作🎬

【STORY】
 イタリアのさびれた海辺の町で、ドッグサロンを営む心優しい主人公マルチェロ。しかし彼の平和な日常は、暴力的な友人シモーネによって壊されていく。不条理の穴に落ちた男のとった意外な行動とは---。

 冒頭に登場するのは、歯茎丸出しの興奮状態の大型犬と、痩せ型で気弱そうなトリマー。明らかに体格差がある獰猛な犬に対して、全く恐れることなく、まるで幼い子供をあやすように話しかける主人公マルチェロ。シャンプーする優しい姿に、一瞬で共感してしまうのです!。家族、仲間、友達を大切にするマルチェロの人柄と、イタリアのさびれた町と海辺の景色、そして、暴力の象徴である友人シモーネ。そこにはコミュニティの楽しさと問題があることが見えてきます。
 トリマーのマルチェロは、いつも犬たちと同じ目線で会話をし散歩をします。お客さんの犬も自分の犬も家族兄弟のように世話をし、リラックスした時間を過ごしています。彼にとって大切な場所であるドッグサロン「DOGMAN」は、質素ですが、よく見ると古い家具やトリミングの道具など、センス良く整えられています。また、トリマーとしてコンテストに出場し、愛する娘に応援されながら、ふわっふわのプードルカットのボディを仕上げるマルチェロの笑顔は、幸せの形が見えたようで輝いています。

一方、体が大きく、思い通りにならないと暴力を振るう友人シモーネの影に怯える日々でもあります。2人の間に何が起こるのか、なぜ友達関係を拒否できないのか、など疑問と怒りが湧くたび事態は思わぬ方向へ向かいます。

平凡な男、マルチェロの店「DOGMAN」に足を踏み入れた途端、彼の人生の選択に落ち着かなくなると思いますが、愛犬家の方も恐れずに見て欲しい映画です。犬たちの可愛らしさや、賢さを求める映画ではありませんが、時折、主人公の心を映すように興味深く描かれています。

 2018年のカンヌ映画祭主演男優賞に輝いた、主演のマルチェロ・フォンテ(役名と同じ名前です)は、これまでほぼ無名だったそう!。彼の優しさ、弱さ、狂気までを引き出した、鬼才マッテオ・ガローネ監督のドラマを体感してください。(tomon)

『ドッグマン』8月23日(金)ヒューマントラストシネマ渋谷他全国順次公開!
http://dogman-movie.jp/